コロムビア KW-7058
歌謡ヒット速報 千曲川/なみだ心
発売: 1975年7月
A2 巴里にひとり (沢田研二) 🅴
A3 昭和おぼろ月 (さくらと一郎) 🅱
A4 ペパーミント・キャンディー (チェリッシュ) 🅴
A5 十七の夏 (桜田淳子) 🅴
A6 ひと雨くれば (小柳ルミ子) 🅳
A7 白いページ (小野寺昭)
B1 夏ひらく青春 (山口百恵) 🅳
B2 なみだ心 (殿さまキングス) 🅱
B3 いつか街で会ったなら (中村雅俊) 🅴
B4 白い風よ (桜田淳子)
B5 心のこり (細川たかし) 🅱→21/5/29
B6 恋の暴走 (西城秀樹) 🅳
B7 はだしの冒険 (アグネス・チャン) 🅳
演奏: ゴールデン・ポップス
編曲: 永作幸男
定価: 1,500円
小野寺昭さんにヒットシングルがあったこと、てっきり忘れていた…チャート18位まで上り詰めていたんですね「白いページ」。タイトルだけ見ると、麻丘めぐみか南沙織か柴田まゆみか、なんて記憶を曖昧にさせる罪な曲ですが。自社ネタだけあって、取り上げやすい立場だったのは確かですけど。
「ゴールデン・ポップス」名義が定着する前の大胆さは何処へやら、ジャケットに見合った落ち着いた歌無歌謡路線(『ゴールデン歌謡スキャット』のような例外もありましたが)を忠実に守る今作。期待させる楽曲が目白押し。「白いページ」と並び、NHK連続テレビ小説「水色の時」のテーマ曲としてイレギュラーリリースされた「白い風よ」の選曲がユニーク。当時は「新曲」ローテーションと別に、この手のタイアップ曲が投げ入れられることは珍しくなく、通常の歌番組で歌唱されプロモーションされることがないのと同様、歌無歌謡アルバムでカバーされるのも稀だった。フルートで爽やかに奏でられ、いかにもテーマ曲といった感じの保守的サウンド。
改めてA面から聴くと、まず「巴里にひとり」のエレガントなサウンドに耳が止まる。有線の「フレンチBGMチャンネル」(やたらパン屋さんで耳にすることが多い)を特徴づけるあの音で、ジュリーの面影はほとんどない。そんな世界から、前作の絶望感をヒットに再びとはいかなかった「昭和おぼろ月」を経て、「ペパーミント・キャンディー」の弾けまくるサウンドへ。サザエさん色濃厚なアレンジになっているが、主旋律は2オクターブ離れたリコーダーのデュエット。中音が抜けている分落ち着きのない響きだが、結構好まれた手法だ。「十七の夏」はより乙女度の高いフルートが先導し、「ひと雨くれば」には例のケーナ風の音色が登場(低い音域を奏でると、やっぱリコーダーだって露呈する)。「いつか街で会ったなら」でも大活躍してる。「夏ひらく青春」は地味な演奏ではあるけれど、2度ほど登場する超高速フルート演奏がスリリングだ。最後の最後に乱舞しまくる「はだしの冒険」のフルートに至るまで、結局笛天国ではないか。前作の「22才の別れ」並みに冴えた使用法が聴かれないのが惜しいだけで。
7月15日に一旦「あとがき」を書くちょっと前から、易々と淳子の名前を出しづらくなってしまい、昭和歌謡の一側面に迫るブログとしてはかなり辛い部分もあるのだけれど、本人が歌ってなきゃ別にいいじゃんって問題でもない。歌がなければ、これらの曲は輝きを見せなかったのだから。そういえば映画の中で笛吹いてましたよね…やっぱ、純情な乙女心には笛が一番よく合うのです。だからこそ、この時期の歌無歌謡盤は舐めつくしたいのです(汗)。