黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は太田裕美さんの誕生日なので

クラウン GW-3109~10

ビッグ・ヒット歌謡ベスト36 落葉が雪に・どうぞこのまま

発売: 1976年

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ジャケット

A1 恋は紅いバラ (殿さまキングス)Ⓐ 🅰→10/4

A2 最後の一葉 (太田裕美)🅱

A3 想い出ぼろぼろ (内藤やす子)Ⓒ 🅱→10/4

A4 あなただけを (あおい輝彦)Ⓑ 🅲→10/4

A5 横須賀ストーリー (山口百恵)Ⓓ 🅱→6/15

A6 赤いハイヒール (太田裕美) 🅱→6/15

A7 女の河 (内山田洋とクール・ファイブ) 🅰→10/4

A8 コバルトの季節の中で (沢田研二)Ⓑ 🅱

A9 淋しい天使 (内藤やす子)Ⓒ 🅰→6/15

B1 落葉が雪に (布施明)Ⓐ 🅱→10/4

B2 北の宿から (都はるみ)Ⓑ 🅲→6/15

B3 恋人願書 (松本ちえこ)Ⓒ

B4 さくらの唄 (美空ひばり)Ⓑ 🅱→12/3

B5 四季の歌 (いぬいゆみ)Ⓒ 🅰→10/4

B6 昔の名前で出ています (小林旭)Ⓔ 🅰→4/3

B7 東京砂漠 (内山田洋とクール・ファイブ)Ⓑ 🅰→6/15

B8 ねえ! 気がついてよ (桜田淳子)Ⓒ 🅳

B9 北酒場 (五木ひろし)Ⓓ 🅱→6/15

C1 どうぞこのまま (丸山圭子)Ⓐ 🅲→10/4

C2 揺れるまなざし (小椋佳)Ⓑ 🅱→10/4

C3 哀しい妖精 (南沙織)Ⓒ

C4 落陽 (吉田拓郎)Ⓑ

C5 涙ぐらし (角川博)Ⓓ 🅰→6/15

C6 春うらら (田山雅充)Ⓒ 🅰→6/15

C7 ビューティフル・サンデー (ダニエル・ブーン)Ⓐ 🅰→6/15

C8 LA-LA-LA (研ナオコ)Ⓓ 🅰→6/15

C9 わかって下さい (因幡晃)Ⓑ 🅲→6/15

D1 どこへ帰る (五木ひろし)Ⓐ 🅱→10/4

D2 ささやかなこの人生 (風)Ⓑ 🅰→6/15

D3 夢をください (アグネス・チャン)Ⓒ 🅱

D4 もう一度逢いたい (八代亜紀)Ⓑ 🅲→10/4

D5 霧のめぐり逢い (岩崎宏美)Ⓓ 🅱→6/15

D6 あばよ (研ナオコ)Ⓐ 🅲→10/4

D7 ハート泥棒 (キャンディーズ)Ⓒ 🅱

D8 恋人試験 (松本ちえこ)Ⓓ 🅰→6/15

D9 およげ! たいやきくん (子門真人)Ⓑ 🅰→12/3

 

演奏: クラウン・オーケストラ

編曲: 神山純Ⓐ、安形和巳Ⓑ、久冨ひろむⒸ、井上忠也Ⓓ、小杉仁三Ⓔ

定価: 3,000円

 

クラウンの歌無盤に被りは付き物とは言え、初登場曲が8曲しかないとなるとさすがに萎える…14曲は先立つリリースである『霧のめぐり逢い・愛の渚』(昨年6月15日)からキャリーオーバーされているし、同盤で飛ばされたさくらの唄」「およげ!たいやきくんが復活している。逆に13曲が翌年のリリース『カルメン’77・フィーリング』で再登場しているし…あれ、計算合わないやないですか。確かに横須賀ストーリー「北の宿から」は、これらの盤にずっと入っているし。魑魅魍魎すぎるので、あまり細かくは付け入らないことにしますが。確かに初期のジャンクハンティング段階では、何も考えずにクラウン盤が100円で出てくる度買っていたので(さすがにある時期を超えたら、1枚欠けている盤や中身違いの盤は避けるようになりましたけど)、責任は取りますとも。

今回初登場となるのは主にアイドルの新曲。レギュラー・サイクルに従えば、3ヶ月後には次の曲にとって変わられる運命になるから、そうなるのも仕方ないけど、この頃になるともっとマイナーなアイドルに配慮する欲もなくなったんでしょうかね。録音費はケチっても、マスターテープ代をケチるわけにはいかないし、その辺を考えて欲しかったかなと。音楽出版社の政治力なんて、芸能プロダクションのそれに比べたら微々たるものでしょうに…あれ、ここは文句を言う場所ではないはずなのに。でも、当時3,000円を払ってこれらを買ってた人の身にもなりたいものですね、時には。

景気付けとしては「恋は紅いバラ」をトップに持ってくるのは効果的だな、というわけで、A面には今日の主役・太田裕美さんの曲が2曲。クラウン盤の「木綿のハンカチーフ」に逆説的快感を覚える身としては、特にこの「最後の一葉」は物足りないかな。ジュリーの「コバルトの季節の中で」は、気合入った自作曲で歌無解釈も爽やかだけど、不運なことに例の「イモジュリー事件」とパッティングしてしまい、あまり取り上げられなかった。次曲の「さよならを言う気もない」はさらにレアで、これの入った歌無盤は80年までのジュリーのソロシングル中、唯一未だ回収できていない。笛の入った爽快なヴァージョンの存在を知っている故に悔しくてね。前某オクに某社の盤が出た時、3時間ほど自動延長を繰り返した末競り負け、たかが◯リ◯◯◯・◯ウ◯◯相手にとめちゃ悔しくなって、別のアルバムに本気でビッドした挙句、その盤を既に持っていたことに気付いていじけたことがあります(瀧汗)。勢い余って秘話をぶちまけてしまった、ごめん。内容の乏しい盤の時は、ついつい感情的になりがちなので。

そんな気分も「恋人願書」のリコーダーで晴れる。一瞬スティーヴィー・ワンダーの「悪夢」かと思わせるクラヴィネットの音も爽快。「願書は出しません」の「は」の音で指がもつれ気味になるのにめちゃ萌え!これぞ乙女サウンド。2番でベース思いっきり間違えてますけど、萌えた結果でしょうかね。ラブリーに走りがちになる「ねえ!気がついてよ」はここでは、トロンボーンディストーションの絡みで慎重に。「落陽」はレアな選曲だが、当時山田パンダが取り上げていたので、「自社推し枠」になる。「夢をください」にはなんと、チップマンクス・コーラスが登場。余程のアングラ志向の盤でない限り登場しなかったギミックを、当時の歌無盤でやられると爽快。

そして最後に今月強化期間のキャンディーズ。裕美さんとも関係が深いだけに、いいタイミングで選曲されたな。それにしても、彼女たちの曲も続く「哀愁のシンフォニー」(名曲!)が未だ我が歌無ライブラリーに欠けていて、77年初頭は鬼門だったのかなぁ。それだけ、流行の移り変わりが激しい時期だったんでしょうかね。でも、昔の名前で出ていますはこれで6回目の登場だ。初出はどうやらこの盤だったようですけど。ヒットし始めるまで時間がかかったんですよね。