黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日はキャロル・キングの誕生日なので

アトランティック QL-6078A

華麗なるミラクル・ギター・ベスト・ヒット20 春のおとずれ・狙いうち

発売: 1973年3月

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ジャケット

A1 狙いうち (山本リンダ) 🅲→12/19

A2 男泣き (内山田洋とクール・ファイブ) 🅴

A3 愛への出発 (郷ひろみ) 🅴

A4 劇場 (ちあきなおみ) 🅲→10/23

A5 ロコモーション (ゴールデン・ハーフ)

A6 赤い花まつリ (南陽子) 🅱

A7 中学三年生 (森昌子) 🅴

A8 ひなげしの花 (アグネス・チャン) 🅱→12/10

A9 夜の走り雨 (森進一) 🅳→12/19

A10 城ヶ島慕情 (にしきのあきら) 🅰→12/10

B1 円山・花町・母の町 (三善英史) 🅴

B2 しのび逢い (尾崎紀世彦) 🅰→10/23

B3 春のおとずれ (小柳ルミ子) 🅳→10/23

B4 女の子なんだもん (麻丘めぐみ) 🅲

B5 愛愁 (いしだあゆみ) 🅰→10/23

B6 見捨てられた子のように (朱里エイコ) 🅲

B7 早春の港 (南沙織) 🅳

B8 あなたの灯 (五木ひろし) 🅳→10/23

B9 漁火恋唄 (小柳ルミ子) 🅵→12/10

B10 女のみち (宮史郎とぴんからトリオ) 🅹→12/10

 

演奏: ツゥイン・ギターズ、ワーナー・ビートニックス

編曲: 原田良一

定価: 1,800円

 

2ヶ月近くワーナー・ビートニックスが登場してないと、なんか重要なものを忘れてたなって気分になりますね…それにしても、まさかのキャロル・キング誕生日というテーマでの抜擢。ウルトラ大ヒットアルバム『つづれおり』の余波が残る中ではあったけれど、当時の歌謡界に直結したのはゴールデン・ハーフがリトル・エヴァの大ヒット「ロコモーション」をカヴァーしたから。そしてワーナー・ビートニックスに拾われたというわけです。個人的には翌年大ヒットするグランド・ファンクのヴァージョンがより忘れ難いですが…

ツゥイン・ギターズとしては5枚目のリリースで、ワーナー最多回数リサイクル曲「あなたの灯」を筆頭に、12月10日取り上げた前作からも5曲引き継ぎがあるが、例によって快調なギターアンサンブルで全体を引っ張って行く。軽めに突っ走る「ロコモーション」もいいが、グラム歌謡のフレッシュ展開と呼びたい南陽子のデビュー曲「赤い花まつりも収穫。12月19日取り上げた2枚組に収録のサックスヴァージョンとは一味違うあっさり風味だ。「中学三年生」は独特のイントロを加え、ドラムヴァージョンに比べると遥かに純情な感じを出している。ここでも容赦しない「イフ」風エフェクトギター攻撃が…前作にも収録されている城ヶ島慕情」がやはり傑出した出来だ。ジャズ的な大胆な料理をされている「早春の港」が異色。この後「あなたの灯」に落としてくるのがハッとさせる。

やはり、この時期のワーナー・ビートニックスが安定のブランドすぎる故、カラフルに言葉を選べないのがちょっと惜しいけど、末期に向けての劇的な変化の兆しもチラ見えするなかなかの力作。