黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1975年、今日の1位は「22才の別れ」

コロムビア KW-7045

歌謡ヒット速報 バンプ天国/白い部屋

発売: 1975年4月

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ジャケット+盤

A1 バンプ天国 (フィンガー5)

A2 黄昏の街 (小柳ルミ子) 🅳

A3 白い部屋 (沢田研二) 🅳

A4 22才の別れ (風) 🅶

A5 ひとり歩き (桜田淳子) 🅴

A6 さすらいの唄 (小沢深雪) 🅱

A7 ふたりの秘密 (西川峰子) 🅱

B1 この愛のときめき (西城秀樹) 🅴

B2 我が良き友よ (かまやつひろし) 🅸

B3 恋人たちの午後 (アグネス・チャン) 🅱

B4 湖の決心 (山口百恵) 🅵

B5 スモーキン・ブギ (ダウン・タウン・ブギウギ・バンド) 🅲

B6 南風の頃 (ふきのとう)

B7 青い麦 (伊藤咲子)

 

演奏: ゴールデン・ポップス

編曲: 永作幸男

定価: 1,500円

 

ALS品番の末期あたりから、しばらく牧歌的路線のジャケが続いていたと思ったら、いきなりめちゃきわどいジャケでポリドールに挑戦状…やはり従来のやり方じゃやってられなくなっちゃったんでしょうね75年になれば。クリスタル・サウンズの同時期の盤と聴き比べると、加速するヤング化への対応がどうも遅れてるなというイメージが拭えなくて。いまいち勢いがないというか。その辺を補強するためのエロ化となれば、なんか厳しい。

のっけからフィンガー5のノリのいいファンク曲で勢いを固めているのだけど、結果的にこれがフィリップスでのラストシングル曲となり、歌無盤で取り上げられる頻度も一気に減った。歌謡界での勢いも2年続けばいい方だったのかな、特にグループ勢にとっては。今じゃ全然想像できません。25年30年人気持続は当たり前の世界になっちゃってるし…続く加瀬邦彦曲2曲は手堅い演奏以上のものではないし、22才の別れはどうかな、やはり普通だなと思って聴いていたら、Bメロの鮮やかな音の響きに耳が止まる。フルートとリコーダーがユニゾンで同じメロを奏でていて、末尾だけハモリに転ずるのだ(低い方が恐らくテナーリコーダーだろう)。全体の音があっさりしている分、こういうアイディアを実行されるとめちゃ新鮮に聴こえるし、真似したくなるのである。右チャンネルに音が固まっているので、なんとなく辺鄙な感じが否めないけど…続く「ひとり歩き」は、他社盤にぶっとんだ音作りのものが多い故、素直にラブリーな印象が出ていて面白い。アコーディオンとフルートの絡み、ボンゴの軽い音などユニークだ。「恋人たちの午後」もリコーダーの活躍で爽やかに。その分、「湖の決心」は大傑作すぎるソニー盤に比べると撃沈してしまっている。左側にいるリコーダーが、グリッサンドなどさりげないがんばりを見せているのに萎縮している感じだし。「この愛のときめき」もいまいちアガらないし。ラスト2曲はレア選曲だが、それなりに工夫が欲しかった気が。うまくいっているポイントとそうでないところの差が激しく、捉えづらい1枚。爽やかな一面を強調するのなら、それなりのジャケットは必要だなと思う…