黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は安井かずみさんを偲んで

ポリドール MR-3113

伊部晴美のゴールデン・ギター くやしいけれど幸せよ

発売: 1970年6月

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ジャケット

A1 くやしいけれど幸せよ (奥村チヨ) 🅴

A2 あなたならどうする (いしだあゆみ) 🅵

A3 愛の旅路を (内山田洋とクール・ファイブ) 🅴

A4 燃える手 (弘田三枝子) 🅳

A5 今日でお別れ (菅原洋一) 🅷

A6 一度だけ (中山千夏) 🅱

A7 思いがけない別れ (小川知子) 🅵

A8 女のブルース (藤圭子) 🅷

B1 ふりむいてみても (森山加代子) 🅶

B2 愛するゆえに懺悔して (ピーター) 🅳

B3 四つのお願い (ちあきなおみ) 🅵

B4 空手道 (水前寺清子)

B5 経験 (辺見マリ) 🅵

B6 笑って許して (和田アキ子) 🅱

B7 圭子の夢は夜ひらく (藤圭子) 🅸

B8 この愛が終るなんて (島倉千代子)

 

演奏: 伊部晴美とニュー・ストリングス・オーケストラ

編曲: 伊部晴美

定価: 1,700円

 

まだまだ続く春のギター祭り。今日は毎度ながら超安定の伊部晴美先生による、70年春のヒット集。不穏な空気を漂わせながら、様々なヒット曲が世を賑わせたあの頃の雰囲気を伝えてくれます。しかしこのジャケのお姉さん、海の底で何を捕獲したのやら。謎ですね。

「ニュー・ストリングス・オーケストラ」という見慣れないクレジットで、エレガントな装いを強調しているものの、主体はいつものようにこじんまりしたリズムセクションと、落ち着いたギター・サウンド。初見でプレイスタイルを煮詰めながら、どのように色付けするかはじっくりと模索した跡が伺え、急造歌無アルバム色を感じさせない。逆に、変な部分が希薄な分、物足りなさはあるけれど。そちらの要素は原田寛治盤にお任せってところでしょうか。「くやしいけれど幸せよ」も、実にまったりした演奏ではあるけれど、2コーラス目では実に3オクターブ行き交うプレイを聴かせ、スリリングな効果をもたらしているし、ストリングスに震えるようなエコーをかけたりしているのも面白い。恒例の「思いがけない別れ」は、原田寛治ドラムの効果が出たのか多少ファンク色がもたらされた異色の仕上がり。メロディのこなし方は流石に独自のものを感じさせる。この流れに放り込まれると「空手道」がものすごく異色だが、ストリングスの入れ方のおかげか、違和感はそこまででもない。最後を飾るスリーパー「この愛が終るなんて」に至るまで、ギターの魔術が小粋に効き続ける好アルバム。ネタ切れにつき、こんなところに持ってきてしまったけれど。「経験」1曲なんてもったいない。