黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1975年、今日の1位は「我が良き友よ」(4週目)

ユピテル/博光 RH-12

最新フォーク歌謡ベストアルバム

発売: 1975年

f:id:knowledgetheporcupine:20220323044152j:plain

ジャケット

A1 我が良き友よ (かまやつひろし) 🅴→11/14

A2 ほおずき (グレープ) 🅰→11/14

A3 ペパーミント・キャンディー (チェリッシュ) 🅲

A4 歌ってよ夕陽の歌を (森山良子) 🅱

A5 襟裳岬 (森進一) 🅰→4/9

A6 ふれあい (中村雅俊) 🅶

A7 スモーキン・ブギ (ダウン・タウン・ブギウギ・バンド) 🅳

A8 シクラメンのかほり (布施明) 🅸→11/14

B1 傘がない (井上陽水) 🅱

B2 いつか街で会ったなら (中村雅俊) 🅳

B3 僕にまかせてください (クラフト) 🅱

B4 哀愁のレイン・レイン (チェリッシュ) 🅲→10/22

B5 サボテンの花 (チューリップ)

B6 心もよう (井上陽水) 🅻

B7 二色の独楽 (井上陽水)

B8 旅の宿 (吉田拓郎) 🅸→10/22

 

演奏: ザ・フォーク・ライダーズ

編曲: 無記名

定価: 未設定

 

そうさ歌無歌謡にこったり狂ったりすることは、一人の人間として幸せな道を歩くことさ…というわけで、ユピテルの「博光ディストリビュート盤」の神秘は計り切れない。これは12枚目のリリースで、今まで取り上げた盤と異なり、市販盤のような厚紙ジャケットに入れられている(が、やはり定価の設定はない)。75年リリースされた市販盤『最新フォーク歌謡ベスト・ヒット』(YLT-126)と同内容かと思いきや、微妙に違っており、あちらの盤に入っている「22才の別れ」「精霊流し」(例の怖いヴァージョン)「氷の世界」「たどりついたらいつも雨降り」がこちらには未収録で、代わりに「スモーキン・ブギ」「傘がない」「哀愁のレイン・レイン」「旅の宿」が収録されている。どんな基準で曲を入れ替えたのか…あちらの盤には「ザ・サウンズ・エース」も演奏者として併記されているし。少なくともシクラメンのかほりは、東宝盤に同じヴァージョンが入っていることが確認されていて、もしかしたら他の曲も…というわけだが、かつて大映の歌無盤で使われていた名義が、東宝の盤に入っているのと同じ演奏に冠されているとしたら、これはミステリーとしか言いようがない。

そんなわけで気軽に聴き流せるユピテル盤ではあるけれど、A面5曲目の襟裳岬は例によって、メロトロンヴァージョンである。このヴァージョンが収録された盤を、結局4枚も集めてしまったことになり(カセットも1本ある)、なんかそれだけでも相当快感に浸れているような気がする。この曲で時空が歪んでしまうので、益々その他の曲がどうでも良くなるな…といっても、この文脈に「スモーキン・ブギ」を入れるとちょっと浮くな。ジャジーな感じで結構いい演奏をしているのに。「傘がない」は必要以上にドラマティックなアレンジながら、サックスの演奏が下世話な要素を流し込んでいてかなりのアンバランスさ。「心もよう」はありたしんたろう盤ほどではないながら相当テンポアップしており、ちょっとサイケなアレンジだ。そして、東宝盤と同じヴァージョンではない(爆)。テンションの高さと場末感が激突する様が、当時のフォークの立ち位置を示すようで面白いセレクションだ。