黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

この特急は歌無歌謡最果てに貴方を導く

ユピテル YLT-112

ヒット速報!!

発売: 1975年

ジャケット

A1 おんなの夢 (八代亜紀) 🅵

A2 浮草の宿 (殿さまキングス) 🅳

A3 黄昏の街 (小柳ルミ子) 🅵

A4 他人じゃないの (敏いとうとハッピー&ブルー) 🅲

A5 酒場にて (江利チエミ) 🅱

A6 火遊び (中条きよし) 🅴

A7 さらばハイセイコー (増沢末夫) 🅱

A8 昭和枯れすゝき (さくらと一郎) 🅶→21/11/14

B1 白い部屋 (沢田研二) 🅵

B2 湖の決心 (山口百恵) 🅷

B3 哀恋記 (五木ひろし) 🅴

B4 この愛のときめき (西城秀樹) 🅵

B5 私鉄沿線 (野口五郎) 🅲→2/12

B6 スモーキン・ブギ (ダウン・タウン・ブギウギ・バンド) 🅳→3/24

B7 初めてのひと (西川峰子) 🅳

B8 22才の別れ (風) 🅸

 

演奏: ザ・サウンズ・エース

編曲: 池多孝春

定価: 1,500円

 

またまたわかりやすいジャケットで攻めてくるユピテルの市販盤。ここも全容解明への道は厳しいですが、何せ「メロトロン襟裳岬」という高過ぎる基準値があるので、どれをとっても過剰に期待せずにいられなくなります。ましてや東宝とのヴァージョン共有疑惑とかも絡んでくるし。

大映レコードから引き継がれた「サウンズ・エース」名義もここでは派手なブラス・サウンドを前面に出しつつ、決して変な方向に揺れない演出で、池多先生の仕事も手堅い。特に前半の演歌中心構成はそこまで場末色もないながら、何事の邪魔にもならない程度の流れを作る。B面でもこのノリで基本的には進んでいくのだけど、特に「哀恋記」ではファンキーな側面を無意識に強調していて、印象としては「襟裳岬」に近い。ただ、やはりメロトロンは入っていません(涙)。「スモーキン・ブギ」も、この編成の強みが出た名演。ラストを飾る22才の別れにそこまでフォーク感が出てないところも、かえって効果的。まぁ可もなく不可もないという感じだけどしょうがないですね。