黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日はクエンティン・タランティーノの誕生日なので

東宝 AX-4011

最新歌謡ヒット

発売: 1974年3月

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ジャケット

A1 星に願いを (アグネス・チャン) 🅰→5/9

A2 薔薇の鎖 (西城秀樹) 🅰→5/9

A3 世捨人唄 (森進一)

A4 恋人たちの港 (天地真理) 🅰→5/9

A5 銀の指環 (チューリップ) 🅱

A6 修羅の花 (梶芽衣子)

A7 あぶら地獄 (内田あかり) 🅱

A8 突然の愛 (あべ静江) 🅷

B1 こころの叫び (野口五郎) 🅰→5/9

B2 別れの鐘の音 (五木ひろし) 🅰→5/9

B3 姫鏡台 (ガロ) 🅰→5/9

B4 恋人は妹のように (葵たかし)

B5 あなた (小坂明子) 🅺

B6 若草の季節 (森昌子) 🅴

B7 針のくちづけ (安西マリア)

B8 ときめき (麻丘めぐみ) 🅵

 

演奏: 市原宏祐 (サックス)、ジミー・スコット (ギター)、岡山和義 (ドラムス)/ミラクル・サウンズ・オーケストラ

編曲: 福井利雄

定価: 1,800円

 

昨日のエントリで、必要以上に「こんなにこんなに愛してる」の曲名を出しまくってしまいましたが、宗内的に3月27日というと、1993年のこの日、中野にあった某中古レコード店でそのシングル盤を見つけ購入し、家に帰って聴いてひと聴き惚れしてしまったという、人生屈指の記念すべき日でしかないのです。黄昏みゅうぢっくでもキーとなる重要人物である「山倉たかし」という固有名詞を意識し始めたのも、その曲との出会いの賜物であり、もしその日に別のところで別のことをしていたら、今の自分はきっとありません。もっとも、その後2回別のレコード店でその盤を見つけ、また買ってしまうという事例に恵まれてもいるのですが。この盤を独り占めしたいという野望に駆られさえしたけれど、最早その当時の相場価格でこのレコードを手に入れるのは、全く不可能なところまできてしまいました…悪いのは僕じゃない…(汗)

かと言って、その曲絡みのアルバムを取り上げるわけにいかないし、既に昨年4月2日に該当する唯一の1枚を取り上げている(汗)。で、他の歌謡絡みの目ぼしい出来事が皆無なんですよ。でも、よくよく探したらあった。そんなわけで、世界全域に梶芽衣子の名前を知らしめた偉大な映画監督タラちゃんに捧げるエントリです。「怨み節」を収録した歌無盤は多々あれど、「キル・ビル」のサントラ盤に収録され世界的ヒットとなった「修羅の花」を歌無化した盤は、恐らくこれだけのはず。さすが、東宝は目の付け所が違います。

ラクル・サウンズにとっては末期の盤にあたるけど、いい意味で過渡期の音と言える耳あたりの良いサウンドが聴ける1枚。「星に願いを」のコンパクトなサウンドは安定の場末感があるけれど、フルートの音はちょっとリコーダー的な響きがあり、そっちを使えばよかったのに(汗)。そんな中、テリー・スタッフォード「サスピション」みたいな響きのシンセ音が、新たなる空気を吹き込んでいる。続く「薔薇の鎖」は一転してエキサイティングなサウンドで、間奏の最後に突然始まるドラムソロ…よく聴くとその末尾にテープ編集したような形跡が。もっと長く続いていたのでしょうか。ジミー竹内みたいに6分ヴァージョンにしてしまう大胆さは、さすがに回避したというわけか。続く「世捨人唄」の選曲はレアだが、発売当初はこちらの方も「襟裳岬」と同等に推されていた記憶が。当時の竜崎孝路が多用した類のシンセ音が、控えめに色を添えている。「修羅の花」はさすが、名曲だけど凄みは地味なものに抑えられている。鍵ハモのブレスが顕なところに意地が。願わくば好夫ギターで聴きたかったところだ。「あぶら地獄」は2度目の登場だけどいい曲だな。こちらも国際的に知られて欲しい曲だなと、この2曲を連続した配置で聴くと思ってしまう。左側で聞こえる笛は、恐らくピッコロだろう。

B面は昨年5月9日のエントリで語りすぎたスターレスな「こころの叫び」からスタートするが、これは6曲目とかに入れた方が正解、というか「ムーンチャイルド」へのオマージュとしてのB1なのかも(爆)。「恋人は妹のように」は激レア選曲だが、歌ってる人は未だ現役だから凄い。こんな自社推し曲にも容赦無くドラムソロを押し込んでくる…「若草の季節」も、他社盤のようにキュートな要素を強調することはせず、手堅い演奏だ。やはり、ミラクル・サウンズの特色たる鍵ハモの音が何よりも印象に残るが、「学園天国」が収録されている分だけ、次の盤の勝ちと言い切りたい。このタイトルのシリーズは、結局10月発売の分で完結した(そんな中の1枚に「古い日記」が入っているのだ。探してます)。