黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は山口洋子さんの誕生日なので

東宝  AX-2003

最新歌謡ヒット ゴールデン・サックス・アルバム

発売: 1972年12月

ジャケット

A1 漁火恋唄 (小柳ルミ子) 🅹

A2 哀愁のページ (南沙織) 🅼

A3 あなたに賭ける (尾崎紀世彦) 🅶

A4 同級生 (森昌子) 🅵

A5 小さな体験 (郷ひろみ) 🅳

A6 めぐり逢う青春 (野口五郎) 🅳

A7 死んでもいい (沢田研二) 🅳

B1 虹をわたって (天地真理) 🅻

B2 放浪船 (森進一) 🅶

B3 悲しみよこんにちは (麻丘めぐみ) 🅶

B4 夜汽車の女 (五木ひろし) 🅷

B5 狂わせたいの (山本リンダ) 🅷

B6 男の子女の子 (郷ひろみ) 🅲

B7 折鶴 (千葉紘子) 🅲

 

演奏: 宮沢昭 (サックス)/ミラクル・サウンズ・オーケストラ

編曲: 福井利雄

定価: 1,500円

 

AX-2000番台で本格スタートしてからは、毎月のように畳みかけ攻勢をかけるミラクル・サウンズの「最新ヒット歌謡」。背文字にその言葉だけがズラーっと並ぶと、自分が探しているアルバムがどれだか解り辛いので罪なものだが、今作はサックスをメインに押し出して区別化を図っている。と言えども、これもサブシリーズ化しており、正確なリリース点数を追うのは至難の技なのだが…

盤によって細かく表情を変える福井利雄アレンジだが、この盤は特に4チャンネル音場を意識したのか、立体的サウンド組み立てが効果的に行われており、どの曲も競合ヴァージョンが多いだけに特異なカラーを放ちやすい。守りに入ったプレイながらちょい走り気味の宮沢昭サックスも、単なるムードものと一味違うし。「哀愁のページ」は、出だしこそ多少せこく聴こえるけれど、かなり繊細な音作り。恐らくフルートも宮沢氏によるプレイだろう。ここまで大人のムードを出してしまっていいのか…といっても、いやらしさとは無縁だし、生まれながらの大人っぽさという感じか。「同級生」の「ピポピポー」は、ちょい微妙なフレージングながらリコーダーで奏でられている。それでいいのだ。A面後半は狂おしく、若々しくはじけまくり。「死んでもいい」の音場処理はかなり異色だ。4チャンネルデコードしたら、果たしてどうなるやら…B面もおなじみの曲が続くが、やはり悲しみよこんにちはで笛の音が恋しくなる…アレンジ的には「さわやかなヒット・メロディー」のヴァージョンにかなり近いから、余計そう感じるのだろうか。かと思えば「夜汽車の女」は完全に毒抜きされているし。どっちつかずなところがかえって落ち着きを与えてくれる1枚だ。それにしても「折鶴」はワーナー盤に負けず劣らず、エコーが深い。