黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は石坂まさをさんの誕生日なので

マイパック DR-0037

魅惑のテナー・サックス ムード演歌のすべて

発売: 1974年?

ジャケット(裏)

A1 波止場女のブルース (森進一) 🅷

A2 命預けます (藤圭子) 🅷

A3 愛のきずな (安部律子) 🅶

A4 新宿の女 (藤圭子) 🅱

A5 希望 (岸洋子) 🅷

A6 ブルー・ライト・ヨコハマ (いしだあゆみ) 🅹

B1 噂の女 (内山田洋とクール・ファイブ) 🅷

B2 思案橋ブルース (中井昭・コロラティーノ) 🅳

B3 恋はここまで (鶴岡雅義と東京ロマンチカ)

B4 長崎は今日も雨だった (内山田洋とクール・ファイブ) 🅾

B5 ロダンの肖像 (弘田三枝子) 🅶

B6 港町ブルース (森進一) 🆀

 

演奏: 松本英彦と彼のグループ・ウィズ・ストリングス

編曲: 無記名

定価: 890円

 

神様がこの世にお造りになられた美しいもののありのままの姿が、なんの無駄な主張もない形で収められているのに、電脳空間上に晒すことに危険が伴うのは避けられなくて、ついつい裏返してしまわざるを得なくなりもす(瀧汗)。まぁ、ダイエー・マイパックだけに、市場にありふれすぎている盤だし(故に表ジャケ画像も簡単に見つかります…自己責任でどうぞ)、自分も手に入れたのは相当初期段階だったのだけど、主に内容面で語る気が失せていたので、遅れに遅れて延長戦でやっと登場となりました。しゃあない。清算はしないと気が済まないのでね。登場する歌手のいずれかの誕生日に合わせて、スケジューリングはしていたけれど、次々と重要盤が手に入るにつれ、後回しにされ続けていたわけで。

まぁ、いくらポリティカリーコレクトに寝返ろうとしたって、自分はやはり「石坂まっさを」という呼称が忘れられない人間だし、こっそり明かしますが「品性下劣バッジ」を少なくとも6個ゲットしていましたんでね(瀧汗)。テナー・サックスのムーディな音色から、そんな下卑たイメージは引き出したくないと思っても、やっぱ紐付けてしまうのがオチ。ここではガチプレイヤー中のガチプレイヤー、松本英彦氏が本気でタックルしています。マイパックの例に漏れず、ほんの3年程前にマイナーなテープメーカーに吹き込んだと思しき音源を使用しているようで、相当のガチプレイヤーも甘い誘惑に負けてか、結構その手のレーベルに実名で録音を残していたっぽい。本来の姿は8トラック・テープで聴くべきものだろうけど、テクニカルな意味合いだとそれも無理そう。レコード化してくれたダイエーには、ほんのり感謝の気持しかない。ただ、「TBSノンディストーションサウンド」の恩恵が半永久的に残るわけでもなく、酷使された盤から流れ出る音はやはり危うい。890円盤の材質だもの、しょうがないよ。

ムード演歌という括りはほとんどおまけみたいなもので、「希望」ロダンの肖像」などそこに属すとは思えない曲もあるし、ブルーライト・ヨコハマは寧ろ70年型サウンドから逸脱しており、場末のダンスホール的ノリで、サックスのプレイもジャジーに咆哮している。ただ、73~4年あたりの若者気質から振り返ると、ほんの3~4年前のトレンディな音楽さえ、相当前時代的に感じられたのだろうか。今振り返ると、『クリムゾン・キングの宮殿』と『レッド』の間の開きしかない…いや、その2作の間にさえ相当過激な揺れがあったけどさ。マイパックが狙ったのは、尖ってた時代感覚を忘れて簡素な生活に突入した層に他ならない。890円で釣ったノスタルジー