黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

松尾ジーナさんの誕生日は4月25日

クラウン GW-7025Q

フレンズ ドラム・ドラム・ドラム

発売: 1972年3月

ジャケット

A1 ともだち (南沙織) 🅺

A2 フレンズ (平山三紀) 🅳

A3 別れの朝 (ペドロ&カプリシャス) 🅾

A4 愛の架け橋 (ヒデとロザンナ) 🅲

A5 幸福への招待 (堺正章) 🅴

A6 ハチのムサシは死んだのさ (平田隆夫とセルスターズ) 🅹

A7 かもめ町みなと町 (五木ひろし) 🅺

B1 雨のエアポート (欧陽菲菲) 🅽

B2 雪あかりの町 (小柳ルミ子) 🅻

B3 ちいさな恋 (天地真理) 🅽

B4 さすらいの天使 (いしだあゆみ) 🅺

B5 終着駅 (奥村チヨ) 🅻

B6 気ままなジーナ (松尾ジーナ)

B7 愛する人はひとり (尾崎紀世彦) 🅺

 

演奏: ありたしんたろうとニュービート

編曲: 福山峯夫

定価: 2,000円

 

これは相当前から持っていたけれど、うっかりしていて昨年提供用のデータベースに入れ忘れていたものである(汗)。派手な1枚故、印象に残りやすいはずなのだけど、何せいろんな歌無盤を聴いてるだけに、記憶がややこしくなることもあって。まぁ同じものを2枚買うよりはいいでしょう、ここでスルーする程度なら(瀧汗)。

72年は各社4チャンネルレコード発売に力を注ぎ始め、歌無歌謡界でも顕著に実験が行われた。カッティングと再生に特殊なプロセスを要するCD-4方式は未だに敷居高いとは言え(価格も2,500円まで跳ね上がるケースが多い)、特殊エンコード方式を使うとはいえ、通常のステレオと同様のマスター制作が可能なSQとかRM方式のレコードは、それなりに今でも楽しめる。熱心なマニアのように4chデコーダーまで用意しなくとも、質の良いステレオで再生した音源をそのままヘッドフォンで聴くだけでも、昨今流行りの「空間オーディオ」に通じる立体的な響きがなんとなく味わえるし、演奏の質がいいとメリットも伝わりやすい。でもやっぱり、4つのスピーカーが置かれた喫茶店で聞くのが一番お似合いだろうか。

クラウンでも通常より500円高い7000番台で、何枚か4チャンネルレコードがリリースされたが、中でもありたしんたろうの盤は、そのダイナミズムが執拗に強調され聴き応え充分。72年の大ヒット曲が集結して、いつものような爆走ドラムで飾り立てられるこのアルバムも、従来の場末グルーヴから一歩前進し、4チャンネルで畳み掛ける大胆なサウンドが満載。のっけから「ともだち」「フレンズ」の連発とは気が利きすぎ!各種パーカッションをちりばめながら、いつも以上に激しく弾けている。「別れの朝」は普通に始まったと思わせておいて、いきなり爆裂、疾走するラテンロック化。ラスト近くのデリケートなドラムソロが、貴方のステレオシステムの忍耐力を試す。「愛の架け橋」はグラス・ルーツと「太陽にほえろ!」を結ぶミッシング・リンクのようだし、まったりした口笛盤を聴いた後だと「幸福への招待」も刺激的すぎる。「ハチのムサシは死んだのさ」は、なぜか「真赤に燃えてる」の部分が針飛びしたようにすっぽり抜け落ちており、写譜した際にエラーでもあったのだろうか。この手のチョンボが時々あるのも、慌ただしい歌無歌謡界ゆえに責められません。筒美作品8曲から、カルトな「気ままなジーナ」に至るまで、ダイナミズムの限界に挑む爽快な演奏が聴ける。ドラムの次に目立つ楽器が電気ハープシコード(?)というのもそそる1枚。ただ、「優れた再生音の追求を目的に開発された超薄型レコード」の効果はあったんでしょうかね。重量盤が重宝される今聴くと、一部パーカッションの音に押しつぶされた印象が感じられてしょうがないんですけど。経年もあるから仕方ないのですけどね。