ミノルフォン KC-76
'74最新ヒット歌謡 別れの鐘の音/下町の青い空
発売: 1974年4月
A1 別れの鐘の音 (五木ひろし)Ⓐ 🅷
A2 恋は邪魔もの (沢田研二)Ⓐ 🅲→10/28
A3 花のようにひそやかに (小柳ルミ子)Ⓐ 🅵
A4 薔薇の鎖 (西城秀樹)Ⓑ 🅶
A5 あなた (小坂明子)Ⓑ 🅴→10/28
A6 恋人たちの港 (天地真理)Ⓐ 🅷
A7 春風のいたずら (山口百恵)Ⓑ 🅴
A8 しのび恋 (八代亜紀)Ⓑ 🅷
B1 下町の青い空 (森昌子)Ⓑ
B2 星に願いを (アグネス・チャン)Ⓐ 🅶
B4 突然の愛 (あべ静江)Ⓐ 🅸
B5 恋の風車 (チェリッシュ)Ⓑ 🅻
B6 ときめき (麻丘めぐみ)Ⓑ 🅷
B7 くちなしの花 (渡哲也)Ⓐ 🅷→10/28
B8 幸せだったわありがとう (いしだあゆみ)Ⓐ
演奏: ブルーナイト・オールスターズ
編曲: 京建輔Ⓐ、矢野立美Ⓑ
定価: 1,800円
ブルーナイト・オールスターズにも当然ミッシング・ピースがありますよというわけで、前作から2ヶ月で登場となる74年春ヒット集。前作までは4チャンネルRM音源でリリースしていたが、久々に通常のステレオに戻り、なのに番号帯は同じで価格改定されているというややこしい仕様。余程、当時の石油ショックがシビアだったか窺い知れますが、そんな中でも歌無歌謡に対する需要をしっかり受け止めた徳間の意地に唸らされます。何せ、ワーナー・ビートニックスが活動休止した分、ぽっかり穴が空いてしまったようなものなので。それに相応しく、今回も美麗なジャケットで攻めてきます。
安定のブルーナイト・サウンドもこの辺にくるとクリスタル・サウンズと双璧というか、小気味良さに念頭をおいた作りで、何事の邪魔をもしない安定走行ぶり。マリンバやヴァイブを多用しているところにファンシーさが窺え、その一方で若々しいノリを執拗に強調してもいる。「恋は邪魔もの」は暴走気味でそれがいい方に出ているけれど、「薔薇の鎖」ではテンポを落としすぎて逆に滑稽。クラウン盤「裸のビーナス」ほどではないけれど、歯切れの悪さが露呈している。不自然に前に出てきているギロとか、どうなんでしょうね…逆に「星に願いを」がかなりの暴走ぶりで、対比が面白い。「ときめき」の「チャチャチャ」を何で代用してるかに思いを巡らせていると、ずるっとくるよ。このスリリングさもブルーナイトの魅力の一つ。
改めて「花のようにひそやかに」や「赤ちょうちん」のここでの解釈を聴いてみると、今宗内の母体が取り組んでいる曲作りのプロジェクトにも、歌無歌謡がいかに濃厚な影響を与えているかが身に染みてきます。特にアレンジ面で。この曲のこんなところを、無意識に意識してたんだなって。