コロムビア YS-10025-J
白鳥の歌/ゴールデン・ポップス
発売: 1968年6月
A1 白鳥の歌 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅳
A2 花の首飾り (ザ・タイガース) 🅴
A6 こころの虹 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅲
B1 銀河のロマンス (ザ・タイガース) 🅲
B2 虹の中のレモン (ヴィレッジ・シンガーズ) 🅱
B3 亜麻色の髪の乙女 (ヴィレッジ・シンガーズ) 🅱
B4 ゆうべの秘密 (小川知子) 🅸
B5 あの時君は若かった (ザ・スパイダース)
B6 涙をおふき (布施明) 🅳
演奏: ヒット・キット・オーケストラ
編曲: 森岡賢一郎
定価: 1,900円
コロムビアのサイケ色濃いジャケット・デザインには芸風がくっきり刻印されていて、いろいろ並べてみると壮観だろう。まぁ、この種のカラフルさと全く別の世界観を描いたら結果的にアシッド色濃厚になってしまった「スナッキーで踊ろう」という特殊な例もありましたが…いずれにせよ、それがヒットしてたら、こんな歌無盤でインスト化されてたかもしれないが、聴くのが怖いですよね(汗)。一方でオリコン1位曲の話題。上の曲目表で太字にしたのがその5曲なのですが、79年までの洋楽も含むシングル1位曲で未だここに登場していなかった2曲の片方「マサチューセッツ」が、ここにきて2日連続で出てくるとは…これもまた奇跡。もう1曲は…一応今は黙っておきます。
後にコロムビアの中軸楽団名となる「ゴールデン・ポップス」をアルバムタイトルとして記した記念すべき1枚。GS度5割越えという68年らしい、その分無闇に価値が高まっているとも思えないこの盤ですが、森岡賢一郎がガチなアレンジを施しており、生半端な出来ではない。和モノとしてはグルーヴ成分低めかもしれないけど(「トンネル天国」や「愛なき夜明け」みたいな、入ってるだけでめちゃ価値が高まる曲もあるわけじゃないし)、その代わりにお伽話としてのGS要素が効果的に浮き出ている。かといって、「恋のバロック・ロック」程の寓話色があるわけでもないし。あくまでも、健全なゴーゴー盤として楽しめまくる。価格設定も洋楽番号帯ということで若干強気だが、その分音に込められた気合はなかなかのもので、解説にはフィーチャーされたプレイヤーの氏名も一部だが記載されている。どのGS曲よりもサイケ色を感じさせる「乙女の祈り」で過激なディストーション・ギターを披露しているのは村上光雄氏。随所でアンニュイさを醸し出しているフルート奏者は、以前火曜日に紹介した『フルート・ムード』でもフィーチャーされていた薗武史氏。「亜麻色の髪の乙女」も荒尾正伸氏をフィーチャーして鮮やかに。解説で青山ミチがオリジナルと記されているのは、事実だけどかなりの冒険に出たのでは。セルフリアレンジでちょっと色気を出した「ゆうべの秘密」でフィーチャーされているのはバリトン・フルートとのことで、不思議と妖艶な魅力が醸し出される。GSワールドの中に入れられると、不思議と清涼剤になり得るのだ…お色気一辺倒のアルバムだと困ってしまいそうだけどね。最後は朝焼けの中に溶けていきそうな感覚の「涙をおふき」で、自らの作曲曲を思いっきりムーディに処理して終幕。この「自らの作曲曲を再処理」の美学は、明日紹介するアルバムで目一杯味わうことができるのだ…遂に「あの曲」も登場しますよ。