黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

大好きな歌手にこっそりトリビュート

テイチク BL-1021

ニュー・ヒット歌謡ベスト10 悲しい女と呼ばれたい

発売: 1971年4月

ジャケット

A1 ざんげの値打ちもない (北原ミレイ) 🅲

A2 花嫁 (はしだのりひことクライマックス) 🅾

A3 今日の雨 (高田恭子)

A4 抱擁 (ヒデとロザンナ) 🅲

A5 誰もいない海 (トワ・エ・モワ) 🅺

B1 悲しい女と呼ばれたい (日吉ミミ) 🅱

B2 さいはての女 (藤圭子) 🅳

B3 女の意地 (西田佐知子) 🅹

B4 知床旅情 (加藤登紀子) 🅽

B5 希望 (岸洋子) 🅺

 

演奏: シンギング・ブラス

編曲: 池田孝

定価: 1,000円

 

昨日に続いて「BEST and BEST」シリーズの1枚。曲目的にも「訳あり女子の恋物語」という感じの10曲で、哀感を余計に強調するジャケットがいい(このシリーズ、写真の選択が地味に憎めない)。従来ユニオンで出ていた、池田孝氏を軸とする「シンギング・サウンド」を担ぎ出してきたのにも、このシリーズをさらにテコ入れする意図が感じられる。予想通りのサウンドが展開されているけれど、かえって安心。ユニオン時代より若干録音技術が進化したのか、シャープなサウンドが味わえる。片面5曲収録のメリットも大きいだろうし。ポリドールの6曲収録の500円盤より、こっちの方が当然勝ちだろう。持って帰るのに勇気がいるジャケットでもないし。

どちらかというと「今日の雨」「抱擁」が地味ではあるけれど(いずれも中村泰士作曲)、全体の流れの中では中盤の安定感を保つ役割にあっていいアクセント。「花嫁」も幸せな主人公を見つめる不幸な女というカラーがここでは浮き出ていて、余計破滅モードに入ったのがあのユニオン盤か(?)。かえって「誰もいない海」には無常感が希薄だし、これもまた悲しい恋愛小説の1シーンと言えそう。予想以上に明るく演奏される「希望」に至るまで、一貫してまっすぐなサウンドが聴かれる。

10回目の登場となる「女の意地」は当時競作となっていたけれど、本家の意地でビクターが送り出した藤井明美さんのヴァージョンに思い入れが強すぎるのですよ。この翌年、妹の麻丘めぐみがデビュー早々トップアイドルの座に昇り詰めて、彼女の歌手人生も激変。最後に与えられた芸名・立木久美子を襲名した娘さんも21世紀に歌手活動を開始、出産を経て最近歌手活動を再開したところ。お孫さんも3代目立木久美子(!?)襲名に向けて、順調に育っているようです。もちろん明美さん本人もお元気でいらっしゃる様子。このブログでも、地味に応援したいと思います。