キャニオン C-1041
ダブル・ドラム ヒット・ヒット・ヒット
発売: 1971年12月
A1 雨の御堂筋 (欧陽菲菲) 🅼
A2 おもいでの長崎 (いしだあゆみ) 🅸
A3 雨のバラード (湯原昌幸) 🅷
A4 忘れていた朝 (赤い鳥)
A5 涙から明日へ (堺正章) 🅵
A6 ノアの箱舟 (平山三紀) 🅲
A7 長崎から船に乗って (五木ひろし) 🅻
B1 雨の日のブルース (渚ゆう子) 🅸
B2 さよならをもう一度 (尾崎紀世彦) 🅽
B3 望むものはすべて (ヒデとロザンナ) 🅱
B4 朝もやのなか (ヘドバとダビデ)
B5 燃える恋人 (本郷直樹) 🅲
B6 お世話になりました (井上順) 🅲
B7 誰も知らない (伊東ゆかり) 🅹
演奏: 長芝正司、小津昌彦/キャニオン・ポップ・サウンズ
編曲: 中島安敏
定価: 1,500円
昨年5月19日のエントリで、箱買いで入手したのに中身が全然違うものだったことを報告したアルバムが無事巡ってきました。ジャケットもいち早く載せてたので、新しい画像を撮らずに済んだ(爆)。
70年代初期から米国ロック・シーンではドラムスを2組積んだバンドが珍しくなくなり、そのトレンドを歌無歌謡もいち早く取り入れた…というと疑問符なんですよね。何せ69年には「オリーブ」がいましたからね。と言えども、そのインパクトが商業的成功に結びついたわけではないし、新手のギミックを実践する場として歌無歌謡が選ばれたのは、当然の成り行きだったのでしょう。ジミー竹内やありたしんたろうの盤がコンスタントに売れていたし、ステレオ録音の実験も含めて各社ドラムの可能性に大いに注目していた中、この「ダブル・ドラム」は抜群のインパクトを放つと見られたのでしょう。案の定、同種の実験はオリーブを失った(というか、藤圭子に奪い去られた)フィリップスの「マックとダイナミック・リズム・マシーン」を始め、いくつか行われる結果になりましたが。
ここでは左右のチャンネルに2組のドラムを振り分けるというミックスで統一されており、全体のバランスへの溶け込みがうまく行ってる箇所もあれば、そうでないところもあり。二人のせめぎ合いは決してお互いに譲歩するわけでなく、それが曲の出来に大きく影響してしまっている。ハードロック志向を強めた「雨の御堂筋」はどっちかというと成功している方で、ベンチャーズの狙い通りという気がするけど、随所に不安にさせるフィルインが聴かれるし(特に右側の方)、この先大丈夫かという心配も。案の定、「雨のバラード」や「長崎から船に乗って」では著しく断片化してる感じだし、「忘れていた朝」も折角のソフトロック感が台無し。「燃える恋人」も、バランスという点ではワーナー盤のヤバさに遥かに及ばないし。はたし合いを繰り返しながら14曲、一息で録っちゃったような1枚だが、揺れ動く時代の喧騒をなんとなく物語ってくれているようで貴重だ。せっかく、歌無歌謡の新たな道が開かれるきっかけを作った張本人、中島安敏を起用したのにねぇ。