最早素直に聴けない曲の一つなのだが、オリジナル・ヴァージョンがサブスクにないのが惜しい。森繁さんのも。
31位 (タイ)
歌: 森繁久弥
作詞/作曲: 森繁久弥
編曲: 山本直純
65年7月25日発売/オリコン最高位11位 (71年に記録)
歌: 加藤登紀子
編曲: 竹村次郎
70年11月1日発売/オリコン最高位1位 (7週)
↑注: 再録音ヴァージョン
🅰松波常雄/コロムビア・オーケストラ (編曲:山田年秋) 21/5/29
コロムビアは本家本元故にヒット・ヴァージョン的解釈を避けたイメージがあるが(表記も「しれとこ旅情」になってたりして)、これは加藤登紀子に近づけている稀有な例。チェンバロで実に朗らかなムードを出しているし、Bメロに絡むフルートが素晴らしすぎ。 KISSアルバム収録なので綺麗にマスタリングされているし。
🅱山内喜美子/ビクター・オーケストラ (編曲: 舩木謙一) 21/6/16
一気にジャパネスクなムードに。しつこいほど打ち鳴らされる鼓の音がロマンティック度を激減させているものの、その他のアレンジは清々しい。
🅲石丸元、田中清司/ユニオン・オール・スターズ (編曲: ?) 21/8/11
完璧に破壊しきっているヴァージョン。このレコードを手に入れた日、思わず5回以上聴いてしまった…ミシシッピー・クイーンを降臨させるカウベルが妙に印象を強めている。
🅳まぶち・ゆうじろう’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/9/17
究極の場末ロマンチシズム。イントロのチージーなオルガンで持っていかれてしまう。サックスも色気皆無でリリカルに迫る。
🅴レオン・ポップス (編曲: 石川皓也) 21/10/7
収録アルバムのジャケットに見合った華麗な音世界。イントロ3小節目のコードがメジャーになっているのが異世界感を醸し出している。盛大なストリングスに包まれる…
🅵木村好夫とオーケストラ (編曲: ?) 21/11/26
フォークアルバムの「叙情歌サイド」の方に収められているが、好夫節が全開。所々コードが大胆に変えられているのが不思議な印象だが、一体誰のアレンジだろうか…
🅶田辺信一とアルフレッド・ザ・グレイト・ブラス (編曲: 田辺信一) 22/2/8
「+琴」のアルバムで唯一琴をフィーチャーしていないのが淋しいとしか言えない。ちょっとテンポアップしているが、イントロ5小節目のコードが変わっていて妙な感じ。明朗なブラスセクションにはほんのりフランジャーの響きも。
🅷稲垣次郎、木村好夫/新室内楽協会 (編曲: 河村利夫) 22/3/22
加藤登紀子アレンジに則っていない「純フォーク」ヴァージョン。「夢で逢えたら」でおなじみ稲垣フルートが甘美に誘惑。顔が見えているのに萌え度めちゃ高い。好夫ギターは2番にさりげなく顔を出す。
🅸奥田宗宏とブルースカイ・ダンス・オーケストラ (編曲: 岩井直溥) 22/4/2
「今宵踊らん」らしくゴージャスなブラスアレンジで踊らせる。しかし、この曲で肩を寄せ合って踊ることには最早ある種の罪悪感が…突然現れるチージーなオルガンが不意打ち。ラストまで油断できないアレンジだ。
🅹バッキー白片とアロハ・ハワイアンズ (編曲: バッキー白片) 22/4/15
王道のバッキーサウンドにゴージャスなストリングスが絡み、無国籍度100%の響き。こんなサウンドでピースフルになるのが一番なのだが…
🅺山内喜美子/キャニオン・オーケストラ (編曲: 小杉仁三) 22/4/19
スタンダードな編曲に淡々と爪弾かれる琴の調べ。最も安心できますね。オルガンもチージーではなくモダンな響きで、いい感じを加味。2番のギターは好夫か?左チャンネルのピアノががんばりすぎ。
🅻吉岡錦正 (編曲: 竹村次郎) 22/5/20
オリジナル編曲者の意地を見せながらかなりテンポアップ。そこに襲い掛かる大正琴の起伏に乏しい響きが、なぜか滑稽に聴こえる。
🅼石川鷹彦とそのグループ (編曲: 青木望) 23/6/16
ロマンティックさを出しすぎて、ソフトロックの領域に行きかけているフォークアレンジ。流石に達人のギターは安心できる響き。クレジットが消されているが、小室等のテクニシャンぶりがナイスサポート。Bメロ後半のコード変更がお洒落だ。
🅽シンギング・ブラス (編曲: 池田孝) 23/11/8
『BEST and BEST』シリーズだけでも3種類目の登場。「元ネタ」の要素をもろ出ししているという点では異色アレンジかもしれない。ユニオンのシリーズものから受け継がれる分厚いブラスサウンドに、霧のようなオルガンが絡む。
以上、14ヴァージョン (14枚収録)。意外にいろんなアレンジが楽しめるが、やはり🅲が最高傑作としか言えない。